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CCC展覧会企画公募 NCC 2015 第7回 入賞展覧会企画 :『Reconstruction of Memories / 記憶の再構築』

若手の展覧会企画者を対象としたCCC(静岡市クリエーター支援センター)の支援プログラムである「New Creators Competition 2015 展覧会企画公募」において、多数のご応募をいただきました。今回は特例として、3企画の選出となりました。厳正なる選考の結果選出された3組の企画者による展示を同時開催いたします。

NCC 2015 展覧会企画公募 EXHIBITIONS
『converters』
企画者:井口 雄介

『かつてとの遭遇』
企画者:椋本 真理子

『Reconstruction of Memories / 記憶の再構築』
企画者:近藤 愛助

■ 会 期:2015年1月13日(火)ー 2月14日(土)(日・祝日休み)
■ 時 間:10:00-20:30
■ 会 場:静岡市クリエーター支援センター 2F・3F
■ 入場料:無料
■ 主 催:静岡市クリエーター支援センター
■ 共 催:NPO法人 しずおかコンテンツバレー 推進コンソーシアム(SCV)
■ 審査員:しりあがり寿(漫画家)
     五十嵐太郎(建築評論家・建築史家)
     八谷和彦(メディア・アーティスト)
     久米英之(CCCプロデューサー)
     大森久美(CCCキュレーター)

『Reconstruction of Memories / 記憶の再構築』
企画者:近藤 愛助(ベルリン)

僕はドイツ・ベルリンに11年間住んでいる。僕の曾祖父もアメリカ•サンフランシスコに38年住んでいた。(太平洋戦中はユタ州のトーパーズ戦争移住センターに収容生活をしていた。)曾祖父と僕は同じ移民ということになる。今回の作品群は1916年から38年間、曾祖父の移民生活の中で記録された写真をもとに制作した。展覧会では写真と絵画を中心に、映像と彫刻、曾祖父の遺品を展示する。再構築された「記憶の装置」として空間を展開させることで「記憶の再構築」をコンセプトに人/時/場の間にある境界の解体を試みる。(近藤 愛助)

企画者プロフィール
近藤 愛助(こんどう あいすけ)

1980年 静岡生まれ。2001年 Bゼミスクーリングシステム終了。
2008年 ベルリン芸術大学 造形学部 修士課程 イケムラレイコ教室 修了。
2012年 Perdita & Hans-Peter Kunzeより奨学金取得。

審査員講評

■『Reconstruction of Memories / 記憶の再構築』について

これは自らの曽祖父が移民していた折の写真のコラージュと彼の遺品等で構成される展示である。この作品の魅力はコラージュの完成度の高い絵画的な魅力と、全体として醸し出される自分ともおぼろげに繋がった記憶の在り様である。海外に渡った曽祖父の過去がその遠さ曖昧さをふまえつつ甦る。全体としてモノトーンで寡黙な展示が過去と現在をつないでくれることを期待している。(しりあがり寿/漫画家)

近藤はベルリンを拠点に制作活動を継続しており、過去作からもうかがえるように、実現性、技量、完成度は充分ある。また幼少時からの身体性への着目から、アメリカに渡航した曾祖父の生涯と自分の海外在住の経験を重ねあわせつつ、両者の記憶を再構築していく企画も興味深い。作家としての切実さが感じられる。そして重要だと思ったのは、二人とも海外から静岡に戻ってくることだ。したがって、同じ展示の形式だとしても、海外や横浜で開催するのとは違い、今回は故郷である静岡のCCCだからこそ、もうひとつの次元が加わるのではないかと思う。それは私的な記憶を通して、近代以降の静岡と欧米の関係を歴史的に見直す機会にもなるはずだ。(五十嵐太郎/建築評論家・建築史家)

近藤さんと曽祖父の関係、例えば外国に定住しての仕事や社会的立場などを重ねあわせて作品化する、というプランには率直に魅力を感じます。また、拝見した今までの仕事も、確かなもののように感じます。ただ、この手の家族の関係をベースに展覧会を構成する場合には、かなり注意深い操作をしないと必要以上にセンチメンタルになったり、あるいは他者が共感しにくいものになる可能性もある、と感じています。このへんをうまい具合に調整するのが作家の力量ですが、ドイツに滞在中ということなので、渡航前の事前準備をなるべく完璧にして、作品設置の限られた時間を最大限有効につかってみてください。期待しています。(八谷和彦/メディア・アーティスト)

■ NCC2015 総評

今回のNCCは応募作も多くその内容も多岐にわたり審査に苦労した。映像あり絵画あり写真ありインスタレーションあり、中には実現性に不安のあるものや詰めの甘い提案も見られたが、全体として「今何かを作りたい」という熱気のようなものを感じた。またその表現欲求も自己のアイデンティティーに根差すもの、社会との連動を探るもの、過去の発掘定着を図るもの、新しい素材造形表現に挑むもの等々多彩でどれも採用して実際に展示を見てみたいと思うものばかりだった。そんな中で今回は審査委員の選考もすんなりとまとまらず異例の3案を選ぶことになった。テーマも志向も違う3点の展示がどんな空間を作り出すか、今から楽しみだ。(しりあがり寿/漫画家)

今回は多数の応募数があり、全体のクオリティも高かった。したがって、書類による一次選考のときから大いに悩むことになった。作品のタイプもバラエティに富み、審査員の票も予想通り割れることになった。面接による二次選考では、実現性と技量、企画の新規性、プレゼの面白さ、過去作との関係、作家の切実さなどから評価した。ここでは選にもれた作家に言及したい。ROSALES OMARはユーモアのある過去作に対し、今回の提案がやや観念的だったことが惜しかった。中村留津子は切実さとプレゼの面白さでもっとも際立ち、強く印象に残った。過去作も興味深い。ただ、技量の面で不安があったことから落ちたが、バックアップ体制をつくるなりして、今後はそこを改善して頑張って欲しい。(五十嵐太郎/建築評論家・建築史家)

今回の一次審査では各審査員が2組づつ予備選出、その後プレゼンテーションと質疑応答での審査となった。日程や居住地の開催でSkypeでの審査も入ったが、どうしても二組に絞り込めず、結果的に三組の選出となった。ただ、厳しいことを書くと、素晴らしい作品が3つあって決めかねたというよりは、近藤愛助さんはすんなり決まったものの2つめの作品の決め手にかけた、というのが率直な所なので、井口さんチームと椋本さんチームは心して展示してほしいと思う。簡単に感じたことを言うと、グループ展ということに逃げているのではないか、ということだ。実際は「良い個展」より「良いグループ展」のほうが実現は困難だったりする。2つのチームには、コンセプトやあるいは覚悟にあいまいなところが見受けられるのは否めないのでそこは心して取り組んで欲しい。(八谷和彦/メディア・アーティスト)

■お問合せ

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