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なぜ、今パフォーミングアーツなのか?

パフォーミングアーツ(Performing Arts)という言葉をご存知でしょうか。

一般的には舞台芸術と訳され、演劇、ダンスなど個人あるいは集団での行為を作品とする芸術表現です。ただ日本語に訳した時に「舞台」という文字を当てがっているので、舞台上で装飾や照明を施された「公演」を想定していることが推測できます。ここには日本の伝統芸能である能や歌舞伎も含まれるでしょう。

しかし、パフォーム(perform)という文字にはそのような限定はなく、「動き」があれば舞台上でなくても構わないということも言えます。例えば静岡では馴染みのある大道芸は路上で行われますが、これも立派なパフォーミングアーツと呼ぶことが出来るでしょう。ただ微妙なのは大道芸は英語では「ストリートパフォーマンス(Street performance)」と呼び、アーツ(Arts)が抜け落ちてしまうことです。これは何を意味しているのでしょうか。

そこには厄介な「芸術」のヒエラルキーが潜んでいるように感じます。舞台上で行われば「アーツ(Arts)」と呼ばれ、路上では呼ばないというように。おおよそ「パフォーミングアーツ(Performing Arts)」という言葉が生まれた背景には美術/純粋芸術(Fine Arts)との対比があったのだと思います。ゆえにここには「舞台」という文字が採用されたのでしょう。つまり「芸術」を特権化(純粋なるもの)する意識が見え隠れします。

特権化された高尚なる「芸術」は、市井の人たちからしたら敷居の高いものとして、存在を認めながらも関わりのないものという意識を生みます。もしかしたら現在のコロナ禍における「芸術」の不要不急論もそうした意識の帰結なのかもしれません。しかしこの1年半の間に人々の表現活動や鑑賞への希求が高まっていることも事実です。「芸術」と呼ぶにせよ呼ばないにせよ、このような「表現行為」が人々の日常の営みに欠かせないもの、暮らしの活力となることを示しているのではないでしょうか。

静岡市が第3次総合計画の5大構想として推し進めている施策のひとつに「まちは劇場」があります。すべての市民が輝ける舞台として日常を過ごす街になるというような壮大なコンセプトだと理解し、私たちCCCも一翼を担うべく活動しています。「まちは劇場」の戦術としてパフォーミングアーツは重要な役割を与えられています。しかしそれが特権化された「芸術」だとしたら、おそらく十全に役割を全うできません。そうではなく誰もがアクセスでき、演者にでも観客にでも気軽になり得なければいけません。静岡市のパフォーミングアーツとは、日常の表現行為を通じて文字通り「生活」に直結していくべきでしょう。

「生活」とは絶え間ない瞬間の連続です。つまりは”ing"であること。パフォーミングアーツ(perfrom+ing arts)を通して、生活を「ing/遂行」的に押し進めることによって、より自分らしい表現が生まれ、多様な生き方を尊重できる環境を生み出す。もちろん簡単なことではなく、時間も掛かることですが、私たちCCCは豊かな地域社会を目指して歩を進めていきます。

CCCコーディネーター 柚木康裕


<このコーナーは個人の見解リポートです>