~ クリエイティビティを地域の原動力に~
【CCCアドバイザーとして思うこと】
以前、創業やベンチャー・中小企業支援する組織に所属していたこともあって、様々な企業経営者に接する中で、企業のクリエイティブ性というものを感じるようになった。
多種多様な静岡の地元企業の中には、数は少ないが人材・伝統・資金などの経営資源を活かし、成長著しく誰からも一目置かれている企業がある。
一方で大多数の企業は、それ程には注目を集めてはいないものの、目立たなくても何かキラリと光る技術や商品、サービスなど他社が真似できない独創性=クリエイティブな一面を持っている。
企業経営者である限りは、たとえ自覚無くても自らクリエイティブであろうとし、自社独自の経営スタイルを構築しよう日夜と奮闘している。経営のデザイン構築と言い換えてもいいかもしれない。
さらに自社の存在価値を高めつつ、1ピースとして全体社会に適合する姿をデザインしているように思える。
CCCで3年間開催してきた「静岡のすごい技見せます」展やその他の事業にご協力いただいた企業の商品を拝見すると、長い間培ってきた基礎の技術力があってのことだが、社会課題解決型の創意工夫など、商品設計ポリシーに「技あり」が感じられる。1社として埋もれているような企業はない。
CCCはクリエーターHUB機能の拡充などによる個々のクリエーターの活動支援と、多様なクリエーターによって構成されるクリエイティブ産業の支援を役目としている。さらに加えて、イノベーティブな意欲旺盛でクリエイティブ指向の強い企業(=クリエイティブ企業群)をさらに応援し牽引する機能も併せ持っている。
個としてのクリエーターとクリエイティブ企業の双方を両睨みで支援することが、静岡の文化と産業の下支えとなり、地元力の向上に貢献すると考えている。
たとえ世間から地味で目立たないと評価されている企業であっても、CCC登録クリエーターの力を借りるなどもっともっとクリエイティブになってほしいし、経営者の意識の醸成がクリエイティブ産業の底上げにもつながり、既存事業に留まらず新産業創出に踏み出す起点となればと思っている。
【個人として想うこと】
~埋もれた作曲家のLPレコードのこと~
昔から目立たないもの、隠れたもの、忘れ去られたものに光を当てたいと思う気持ちがあって、音楽分野でモーツァルト、ベートーヴェンの名声に埋もれて名も残せなかったたくさんのマイナー作曲家のCDやLPレコードをかなり所有している。
今となっては、これらの作曲家の作品100曲合わせても、モーツァルトのオペラ1曲にも及ばないかも知れないが、当時にあっては斬新な、優美な、時に攻撃的なメロディで聴く人を酔わせ、それぞれの作曲家が十分に“クリエーター”だったと思える。
西洋音楽史は、音楽教室の壁に顔のモチーフが飾ってある大音楽家だけのものではなく、有名・無名の数多くの音楽家たちが微妙に絡み合って流れる大河(濁流)のようなものだと思っている。
こちらの2つのレコードジャケットは、なかなか粋なデザインで私の好みであるが、いずれも日本で手に入りにくいヨーロッパのマイナーレーベルである。
A《イギリスDECCA系列のTurnabout.1966年盤》
珍しいヴィオラの協奏曲2曲収録。
作曲家は“交響曲の父”ヨゼフ・ハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンと、モーツァルトの家に住み込みピアノを教わったフンメル。今この二人の作曲家を知る人は少ない。
このジャケットはいぶし銀のような音色のヴィオラにしては派手な出で立ちだが、豪華な花瓶の下での女性(ピアノ)とのデュエットが楽しげ。
B《ドイツACANTA.1981年盤》
「天国と地獄」などたくさんのシニカルなオペレッタの名作を書いたオッフェンバッハと、「青きドナウ」などの“ワルツ王”J.シュトラウスIIのチェロとピアノの小曲集。オペレッタやワルツで有名な2人がこんな粋で希少な曲を書いていたのには驚き。オッフェンバッハはチェロ奏者でもあり、ジャケットのチェロに跨って指揮棒を振りかざすカリカチュアも楽しい。
・・・この2枚は静岡市で自分しか持ってないのではないか、と一人でほくそ笑んでいる。誰も褒めてはくれないが、、、
〈このコーナーは個人の見解リポートです。〉
引用:A《イギリスDECCA系列のTurnabout.1966年盤》
引用:B《ドイツACANTA.1981年盤》
地域デザインアドバイザー/CCCアドバイザー 増田 充