静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)

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Creator’s Reportクリエーターズリポート

#26写真家・ネイチャーガイド
伊藤慶

白夜と極夜が交差する、世界の果て—北極圏。
そこに刻まれる野生動物たちの一瞬の鼓動を、
オーロラが、宙(そら)から静かに見つめている。

極北の生命

太陽が沈まず、ツンドラの地を照らし続ける白夜の夏。
氷点下50℃にもなる寒気が訪れる、太陽の昇らない極夜の冬。

この白夜と極夜が交差する、地球上で最も過酷な環境のひとつが北極圏だ。

この原野に一歩足を踏み入れると、そこには野生の世界が広がっている。
極北に生きる動物たちは、厳しい環境の中でひたむきに命をつないでいる。その中で、自然淘汰という厳しい摂理に身を置きながらも、時折、穏やかな表情を見せる。

その瞬間が、彼らの一生の中でどれほど尊いものなのか。と感じてきた。

そして、
彼らの生命の営みを包み込むように、夜空にはオーロラが舞う。
宇宙から届く光を見上げると、地球が刻んできた悠久の時間が垣間見え、相対的に、動物たちの一瞬を生きる命の儚さが浮かび上がる。

この極北の地に足を踏み入れて、約10年。
野生本来の生態系が残る貴重な場所で、夏も冬も野営をしながら過ごし、北極圏を間近で感じてきた。

白夜と極夜という光の循環に呼応しながら、野生動物とオーロラ、それぞれの姿を通して、これからも極北の地を見つめていきたい。




極北の生命 ~白夜と極夜の鼓動~
伊藤慶写真展
会 期:2025年10月18(土) ~11月16日(日)
時 間:10:00-21:00(最終入館20:30)
※月曜休館・入場無料 
会 場:CCC1Fギャラリー
主 催:静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)

Creator’s Introduce
写真家・ネイチャーガイド
伊藤慶

1991年生まれ 静岡市立高校、東京農大卒業 大学時代は海棲哺乳類を専攻し、北海道の多様な生態系に魅了され、野生動物の撮影を開始。更なる北方の自然を求めて、アメリカへ留学。現在はカナダの永住権を取得し、ユーコン準州でネイチャーガイドの傍、「極北の生命」をテーマに、北極圏周辺をフィールドに撮影を続けている。

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