静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)

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Creative NOW今だからこそ育てたい自分のスキル

“最適化の一歩先へ”

CCC HUB登録クリエーター 五十嵐華子

私は普段、フリーランスのDTPオペレーターとして活動しています。

「DTPオペレーターというのはどのような職種ですか?」と聞かれることがありますが、「デザイナー」や「イラストレーター」などと比べると、確かにあまり認知されていない職種かもしれません。
簡単に言ってしまうと、「DTPオペレーター」とはデザイン用のアプリケーションで印刷物のデータを適切に組み立てる人たちのことを指します。皆さんの身の回りにあるチラシや書籍などは、デザイナーだけでなくDTPオペレーターの手も介して制作されています。
オペレーターは創造性よりも先に正確性が重視されることが多く、ともすれば受け身になりがちな職業です。手を動かせば業務は進みますが、それだけでは自分の知識や感覚をアップデートする機会を逃してしまいます。
コロナ禍で副業を考える人が増えた影響もあり、オンラインで気軽に利用できる学びの場がこの数年で急増しました。アプリケーションの操作が出来る人の数はどんどん増え続けています。また、アプリケーションそのものにも、ビギナーのユーザーを意識した機能が搭載される傾向にあります。最近話題のAIを利用した機能もそのひとつです。
私のようなオペレーターにとっては、同じ道具を使うライバルが増える中で、AIとも折り合いをつけなければいけない時代が来ていると言って良いでしょう。そんな中でも自分のスキルを伸ばし続けるには、今自分が行っている操作が本当に最適化されているかどうかを常に問わなければなりません。
そのために私が重要だと考えているのが、自分自身のスキルを世の中に照らし合わせる、いわばキャリブレーションのような作業です。オンライン・フィジカルにこだわらず情報収集を行い、実際に手を動かして自分の中に落とし込む。そこから最適化を進めていくと、単に作業効率を上げるのみならず、一見して自分とは関係のなさそうなことにもアンテナを立てる余裕が生まれます。

2020年、緊急事態宣言が発出されたあの時、きっと多くの方が「あなたの仕事は不要不急ですよ」と言われているような気持ちになったのではないでしょうか。確かに人命より大切なものはないけれど、悔しさを感じずにはいられない。私もその一人でした。しかし、時代がwithコロナに向かう中で、ピンチをチャンスに変えている人たちがたくさんいます。
私も、この数年は今まで以上に興味の幅を広げることに務めています。もともと得意としていたDTPのオペレーションをベースに、動画制作や講師業、執筆、SNS・YouTubeを利用した情報発信、iPadでの制作などに挑戦しているのもその一環です。また、これらの業務に挑む機会はコロナ禍を経てさらに増える傾向にあります。
自分のスキルを研ぎ澄ませるのに注力していると、異なる分野に興味を持つことは遠回りに感じられるかもしれません。ですが、情報感度を高く保ち、多角的な視点を持つことは自分自身の知識の解像度を高めることにも繋がります。「平時だったら、そもそもこんな機会はなかったかも」というポジティブな気持ちを合言葉に、私も模索を続けます。


DTPオペレーター・イラストレーター/五十嵐華子

<このコーナーは個人の見解リポートです>

※画像 上から
[1枚目]MdNの教室デザインアカデミー「初心者からちゃんとプロになるIllustrator基礎入門」オンデマンド
動画講座 収録風景(撮影:渡部瑞穂)
[2枚目]Adobe Illustrator iPad版を使ったイラスト制作のようす

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