静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)

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Creative NOW自分流

”素晴らしき日本文化”

CCC HUB登録クリエーター 小塩瀏蒼

私の「書」の第一歩は、書道教室への入門を断られることから始まりました。
保育園の年長時、自ら書道教室に入りたいと親に懇願しました。
当時書道教室は習い事の代表格、教室は子供達で溢れかえっていたため、未就学児では手がかかり過ぎると判断されたのではないかと思います。大泣きしながら家に帰ったのを鮮明に覚えています。
翌年、小学校入学式の帰り道に再度書道教室を訪れ、念願かなって入門を許可されました。
それから50年近くが経ちました。これから私の「書」がどこに向かうのか自分自身分かりませんし、また楽しみな事でもあります。

私の「書道」のスタイルは「型」を持たないことです。時には伝統的な表現を、またある時には現代的な表現を、そしてそれらとは全く違った表現を作り出したり、と作品制作時の私の心情により表現方法は変化します。
そのようなスタイルになるのは私が庭師としての一面も持っているからだと感じます。
日本建築や日本庭園に代表される日本人の精神の中にある「間の美」、「余韻」から作品制作に関するヒントを得ることが非常に多く、普段より実際に作庭、管理に携わっているからこそ得られる感覚なのではないかと思います。「書」だけが根源ではない「書」が私の「書」です。

以前より二つの日本文化、「書」と「庭師」を併せ持つ私独自のスタイルの「書」を海外に発信したいと考えていました。
そんな折、一人のポーランド人との出会いにより私の書道人生は変わりました。
今から7年程前のことです。もともと海外での活動に非常に興味を持っていた為このきっかけにより私の本格的な海外活動がスタートしました。
これまでにポーランド、リトアニア、モンゴル、中国において書道パフォーマンス、展示会、ワークショップ等を行ってきました。どの国に於いても多くの方に興味を持っていただき大盛況に終わりました。

しかし現実、現在の国内において多くの方が「書」に持つイメージは「何が書いてあるか分からない」や「読めない」「習うもの」が殆どであると思います。日本文化を持つ日本人に日本文化である「書道」の面白さ、楽しさ、美しさをもっと伝えるためにはどうすべきかと日々考えます。この現状に私の作品がそれらを伝える架け橋になればと願い、また勝手に使命感を感じつつ、これからも制作活動に邁進していきたいと思っております。

書家/小塩瀏蒼

〈このコーナーは個人の見解リポートです〉

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