創造都市はCreatorだけでは実現しない。創造しい人々(市民)が欠かせない!
先ず、創造都市とは何か?を整理しておこう。日本における創造都市研究の第一人者である佐々木雅幸さんの言葉を引用してみる。「そもそも「創造都市」とは、地域住民の活発な創造活動によって、先端的な芸術や豊かな生活文化を育み、革新的な産業を振興する「創造の場」に富んだ都市を意味します。〜「創造都市」の始まりは1990年代、ヨーロッパの都市が脱工業化によって衰退し、危機を迎えたことにあります。これらの状況を打開したキッカケとなったのが「創造性」です。スペインのビルバオは工業都市として栄えましたが、造船業が衰退し苦しんでいました。そこに、今までの発想ではありえなかった最先端デザインによる、現代アート中心のグッゲンハイム・ミュージアムを誘致し、芸術を1つの起爆剤として都市再生に取り組みました。アイデアを立案した商工会議所は、肉体労働者の街から知識労働者の街へ、人々の価値観の転換を狙ったのです。」
1980年代、当時の僕は日本における21世紀のまちづくりに何が必要なのかを考えていた。僕の一つの答えが芸術・文化の日常化であり、その先に形成されるアイデンティティであった。今、静岡市の重点施策の一つにも採用されている「まちは劇場」は、そんな思いを込めたメッセージとして、僕が1990年に提案したものである。その後、大道芸ワールドカップのプロデューサーとして活動する中で、「国際的創造都市」という言葉が企画書に頻繁に登場するようになる。2013年に、佐々木さんと鼎談する機会をいただき、フェスティバルシティ、クリエイティブツーリズムによる静岡市における創造都市の可能性について聞いてみたことがあった。
創造都市を具体化するには、先述のように、市民の活発な創造活動と芸術や文化の必要性への理解が欠かせない。一握りのCreator(職業としての)だけでは実現しない。僕が現在CCCでやっていることは、いかに創造的に思考し行動に移せる市民(仲間)を一人でも多く育てていくか、そして創造性の必要性・素晴らしさを都市に実装させていくことである。
2025年3月21,22,23日に予定されている辺境をテーマとしたCCC Frontier Festivalは、従来のProducer主導型、ゲスト招聘型ではなく、共創型のフェスティバルを目指しています。色々な方に参加してもらいたいです。この記事を読んで、興味を持たれた方は、是非ともご連絡ください。
<このコーナーは個人の見解リポートです>
甲賀 雅章<こうが まさあき>
①20代=自己表現のためのデザイン
②30代=企業ためのデザイン
③40~50代=地域のためのデザイン
④60代=社会のためのデザイン
⑤70代=ヒトのためのデザイン
2023年、40年続けてきた株式会社を精算し、solopreneurに。最近ではプレイヤーとして新しいストリートシアター作品の制作にも取り組んでいる。