不景気の時代だからこそ、心に影響を与える芸術・文化・娯楽が必要と感じます。
2024年10月、パリのシャンゼリゼ通りで毎年開かれる、伝統的アート展「サロンドートンヌ」に抹茶書®︎作品*が入選したため、渡仏してきました。
2020年のコロナ禍から始めていたオンライン書道の生徒は世界各国にいらっしゃいます。その中にはフランスの方も多く会いたいと思っていたこともあり、現地でリアルレッスンを行うこともできました。初の対面を喜びながらリアルに抹茶書を体験していただくことができました。
日本文化の様式美、伝統芸術を世界に広めることをライフワークとしている私にとっては、
作品制作・発表、そして世界に広がる生徒さんとの時間を過ごせ、これとない幸せな時となりました。
しかし来年以降の計画を練っていると、あまりにも世界が変化していて、予想がつきません。
今は資源や製品の高騰による物価高は私たちの暮らしに影響を与え、芸術品や文化・娯楽にも影を落とします。
しかし、このような不景気の時代だからこそ、心に影響を与える芸術・文化・娯楽が必要と感じます。
また、社会の価値観や多様性も、独自性を重んじる時代となっているので、一人一人の「ニーズ」や「推し」は、新たなビジネスチャンスの機会と捉えるようにしています。
しかし、ただ新しいことをやればいいのっではなく、自分の信念を持ちながら、ITやDX化を利用しながらも、アナログの持つ力で人の心をつなぐ伝統文化を進化させようとしています。
そして、抹茶書®︎で描いた作品が持つ経年変化により色彩も変化していく特色は、その儚さも日本の詫び寂びを表現していますが、日本の伝統文化の新たな可能性を探るとともに、その持続性を高めることを、もう一つの課題としていきたいと思っています。
皆さまも機会がありましたら、この時代と共に変わりゆく書道の可能性を、ぜひご体感ください。
*抹茶書:松蘭が考案した、製造過程で破棄される茶葉を利用した抹茶粉末で、書を表現したもの。
<このコーナーは個人の見解リポートです>
松蘭<しょうらん>
「抹茶書®」創案者。祖父の影響で書道を始め、国内外で約2万人に指導。書道のグローバルな継承を目指し、ロサンゼルスでは書道パフォーマンスや講義で数々の賞を受賞。昨今は、インバウンドやZoomレッスン、抹茶書アート作品で書道の魅力を伝えている。
www.shoran.net